商業登記実務の改正点について
商業登記実務の改正点ですが、今回は株式会社の設立について整理してみたいと思います。
1.公証人による認証手続きの改正
株式会社の設立に必要な公証人による定款認証を含む電磁的記録の認証手続きの改正が
なされました。
内容としては、株式会社の設立に関し、依頼者が公証人の面前にて行う認証手続きについ
て公証役場へ出頭する方法だけでなく映像・音声の送受信による通話をする方法によって
行うことが可能となりました。
この改正は、我々のような司法書士が代理する場合において代理権限を証する委任状に
ついても電子署名が付された電磁的記録を提供する必要があり、この方法による認証手
続きについては利用が促進されない状況でした。
その後の改正により、必要な情報がオンラインで公証人提供されかつ、認証に関して必要
な添付書面などがあらかじめ公証人に郵送されている場合においても映像・音声の送受
信による通話をする方法による定款認証手続きが可能とされました。
映像・音声の送受信による通話をする方法としては、テレビ電話による方式が採用されて
いますが、この方法は、インターネット環境が必要となり、パソコンやスマートフォンを
使用することになります。
この方法を利用することで、全国どの管轄法務局の公証役場でも出頭することなく定款
認証が可能となりました。
2.定款認証及び設立登記の同時申請
令和3年2月15日から、一定の要件を満たすことにより、定款認証と設立登記の申請
をオンラインで同時に行うことが可能となる制度が始まりました。
この同時申請がされたものについては、次の条件を満たせば原則24時間以内に設立登
記申請が完了することになっております。
ⅰ 設立時役員等が5名以内であること
ⅱ 添付書面情報が全て電磁的記録にて送信されていること
ⅲ 登録免許税の納付を電子納付により行うこと
ⅳ 登記申請につき不備(補正)がないこと
上記につき、ⅱの条件を満たすことが依頼者様にはハードルが高いように感じますが、当
事務所では、電磁的記録の添付情報の作成についても対応しております。