令和3年3月1日に施行された、会社法の一部改正内容の概要について
令和元年12月4日、会社法の一部を改正する法律が成立致しました。改正の概要について整理したいと思います。
施行期日は、令和3年3月1日、但し、【株主総会資料の電子提供制度の創設】及び【会社の支店の所在地における登記の廃止】については令和4年9月1日に決定されました。
今回の会社法の改正は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図ることを目的とするものでございます。これにより、日本企業のコーポレート・ガバナンスが更に向上し、日本企業の競争力や日本企業に対する内外の投資家からの信頼がより高まり、ひいては、日本経済の成長に大きく寄与するものと期待されています。
《改正の概要》
第1 株主総会に関する規律の見直し
◎株主総会資料の電子提供制度の創設 《令和4年9月1日施行》
◎株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備
第2 取締役等に関する規律の見直し
◎取締役の報酬に関する規律の見直し
◎会社補償に関する規律の整備
◎役員等賠償責任保険契約に関する規律の整備
◎業務執行の社外取締役への委託
◎社外取締役を置くことの義務付け
第3 社債の管理等に関する規律の見直し
◎社債の管理に関する規律の見直し
◎社債権者集会の決議による元利金の減免に関する規定の明確化
第4 その他の改正
◎株式交付制度の創設
◎取締役等に対する責任追及の訴えに係る訴訟での和解手続きの整備
◎議決権行使書面の閲覧謄写請求の拒絶事由の新設
◎新株予約権に関する登記事項の見直し
◎会社の支店の所在地における登記の廃止 《令和4年9月1日施行》
◎成年被後見人等についての取締役等の欠格条項の削除及びこれに伴う規律の整備
上記、改正点のうち、令和4年9月1日に施行されるのは、【株主総会資料の電子提供制度の創設】と【会社の支店の所在地における登記の廃止】になります。
【株主総会資料の電子提供制度】とは、事前の個別承諾による電子提供制度とは異なり、定款で定めることにより、株主総会参考資料等を電磁的方法により株主に提供する制度であります。この制度は、定款で電子提供措置をとる旨を定めることにより、導入することができます。
なお、振替株式発行会社(上場会社)は、改正施行日(令和4年9月1日)を効力発生日として、電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款変更の決議をしたものとみなされます(みなし定款変更)。
みなし定款変更による変更の場合、上場会社は改正施行日(令和4年9月1日)から6ヶ月以内に(それまでに他の登記をする場合には、その登記と同時に)すれば足ります。但し、令和4年9月1日以前に、この改正施行日に効力発生する定款変更決議をしている場合は、令和4年9月1日より2週間以内に登記申請する必要がございます。
【会社の支店の所在地における登記の廃止】については、現行法では、会社法第930条第2項において、株式会社の支店の所在地においても、商号、本店所在地、支店の所在場所の登記をすることとされてますが、現在のインターネットの利用による会社検索が容易で、会社法人等番号を利用して会社の本店検索することが可能となっているため、支店所在地における登記が令和4年9月1日より廃止されることになりました。
改正概要は上記になりますが、ご不明点等はお気軽に藤間司法書士法人までお問い合わせくださいます様お願い致します。