運営権について

運営権(公共施設等運営権制度) は、公営施設を運営する権利で、公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間の資金、経営能力、技術的能力を活用して行うPPP(Public Private Partnership)の一手法で、特定公共事業分野で、事業者が施設の所有者から免許や契約によって独占的に営業権を与えられたうえで行われる事業の方式です。自治体等の公的主体が民間事業者(SPC(特別目的会社))に権利を付与します。これにより利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公的主体が保有したまま、運営権を民間事業者に設定することが可能となりました。


SPCは、公共施設利用者などからの利用料金を直接受け取り、運営に係る費用を回収する独立採算で事業を行うことになり、SPCが収入と支出への責任を持ち、利用者数を増やすことによる収入増加や経営効率化による事業費の削減といった自主的な経営が可能となります。


1. 自治体等とSPC

発注者(自治体等)とSPCがコンセッション契約(公共機関が民間事業者に事業権を与えるための契約)を締結します。コンセッション契約では、両者間で事業期間、SPCに委託する事業範囲、SPCが公的機関に対して支払うコンセッションフィー(運営権対価)の金額、利用料金の設定に関する制限(上限金額など)などについて取り決めます。 コンセッション方式が適用される事業は公共施設となりますので、SPCの選定は入札で行われることになります。

自治体等は事業主体から対価を徴収することにより、施設収入の早期回収が実現でき、事業収支及び市場リスクが公的主体から事業者に移転し、運営権の取得に要した費用は、減価償却が可能となります。


2. 出資者とSPC

SPCは発注者(自治体等)とコンセッション契約を締結し、事業を運営していくことだけを目的として設立している特別目的会社です。従って、出資者(株主)こそがコンセッション事業の民間側の事業主体となります。

出資者は、運転資金やコンセッションフィーの支払いに必要な資金を出資金という形でSPCに対して資金を出資し、事業開始後、毎年得られる料金収入の中から配当を受け取ります。出資者が複数の場合には、出資者間で会社運営のルールを定めることになります。


3. 金融機関とSPC

SPCは、運転資金やコンセッションフィーに出資者(株主)からの出資金を充てますが、必要な初期費用が高額になることが多いため、全てを出資金で賄うことはできません。そのため、SPCは金融機関と融資契約を結び、融資を受けることになります。 この場合、運営権を独立した財産権とすることで、運営権を融資金の担保として抵当権の設定が可能となり、資金調達が円滑化します。コンセッション方式のような独立採算型の事業については、当該事業の料金収入のみを担保に融資を行うプロジェクト・ファイナンスという形式が一般的です。


4. 利用者(住民)とSPC

施設の利用者は事業者の創意工夫により、質の高い公共サービスが受けられるメリットがあります。SPCは、サービスの受益者(利用者)と直接契約を結び、提供したサービスの対価として料金を直接受け取ります。


5. 外注先(運営・維持管理会社、設計・建設会社)とSPC

事業運営にあたって出資者が当該事業に精通した事業会社である場合には、従業員をSPCに対して出向させることで、様々な業務を出資者側で行うことができますが、ファンドなどが出資者である場合には、業務は外注することになると思われます。


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