会社分割について

「会社分割」は、既存の事業に関する権利義務の一部、または全てを自社から切り出して他社に引き継ぐ方法で、組織再編の手法の一つとされています。

分割対象は事業の一部または全部で、権利義務の移転先によって「吸収分割」と「新設分割」の2つのパターンに分かれます。


 ・吸収分割→既存の会社に移転

 ・新設分割→新規に設立する会社に移転


会社分割の特徴は、分割を行った会社が消滅しない点にあります。他社に権利義務を引き継ぐという点においては、会社合併と似ていますが、会社合併はいずれかの法人格が消滅します。会社分割では、分割される会社を「分割会社」、事業を引き継ぐ会社を「承継会社」と言います。


◆ 会社分割のメリット

事業を売却する方法には、大きく「事業譲渡」と「会社分割」があります。会社分割の場合、事業部門を子会社として独立させた後に、「株式譲渡」という形で子会社を他社に売却できます。事業譲渡を行う場合、資産・負債が譲渡対象となるため、対価に対して「消費税」が課されます。一方、会社分割の場合は、株式などの有価証券が譲渡対象となるため、消費に当たらず消費税の対象外です。

株式譲渡や事業譲渡では、買い手はまとまった資金を用意する必要があります。一方で、会社分割は対価を「株式」で交付できるため、手元に資金が少ない企業にとっては好都合です。


◆会社分割と不動産

会社分割により承継対象の権利義務の中に、不動産が含まれている場合は、会社分割の効力発生時に法律上当然にその不動産の所有権が分割会社から設立会社又は承継会社に移転します。

吸収分割は分割契約書で定めた効力発生日にその効力を生じ、分割契約書に承継させる権利義務として定められていた不動産の所有権も、分割会社から承継会社に移転することになります。

新設分割は、新設会社の「設立登記」によりその効力が生じ、分割計画において承継させる権利義務として定められていた不動産の所有権も、分割会社から新設会社に移転することになります。


◆会社分割による不動産の所有権移転登記の手続

会社分割により不動産を承継したときは、分割会社と承継会社(又は新設会社)が共同して不動産所在地の管轄法務局に会社分割による所有権移転登記を申請します。

登記原因及び原因日付→「会社分割」

原因日付→吸収分割の場合、分割契約で定めた効力発生日が原因日付

新設分割の場合、新設会社の設立登記の日(新設分割による設立登記を申請した日)が原因日付

 

添付書類

・分割会社の所有権登記識別情報(又は所有権登記済権利証)

・分割会社の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)

・承継会社(又は新設会社)の住所証明情報(登記事項証明書)

・登記原因証明情報

 吸収分割の場合…分割契約書又は報告形式の登記原因証明情報、登記事項証明書(吸収分割の記載があるもの)

 新設分割の場合…分割計画書又は報告形式の登記原因証明情報、登記事項証明書(新設分割の記載があるもの)

・固定資産税評価証明書(登記申請日の属する年度)


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