代表取締役の予選について
3月に入り、会社の取締役など役員変更の手続きが必要な会社様も増えていることと思います。そこで今回は代表取締役の予選についてお話したいと思います。
取締役、代表取締役などの役員を選任する場合、株主総会で取締役を選任、その後選任された取締役で取締役会を開催し、代表取締役を選定するというのが通常の流れとなります。
しかし、株主総会の後に取締役会を開催することができない何らかの事情がある場合、株主総会の前にあらかじめ、代表取締役を選定することも可能とされています。
このように将来、就任する予定の代表取締役をあらかじめ選定しておくことを代表取締役の予選といいます。
しかし、代表取締役の予選には一定の縛りがあります。
その縛りというのが、
1. 代表取締役の予選決議が就任する日の1カ月前程度である。
2.予選時と効力発生時の取締役に変動が生じない。
というものです。
そして、登記申請の際、上記要件を満たしていないとされると、法務局から指摘を受け、登記を取り下げなければならない場合もありますので、注意が必要です。
1.の1か月以内の期間については、1ヵ月を過ぎたから必ず法務局から指摘を受けるとは限らないのですが、一つの目安として考えていただければと思います。
2.の取締役のメンバーが同じという点については、例えばABC3名の取締役がおり、この3名で取締役会を開催し、代表取締役を予選した場合、その効力発生時点でも取締役がABCである必要があるということになります。
取締役のメンバーが予選の効力発生時点において、ABCDやABEになっている場合、代表取締役の予選は認められないことになります。
このように代表取締役の予選は便利な制度ではありますが、どんな形の予選でも認められるわけではありませんので、ご注意ください。
また、代表取締役だけではなく、取締役の予選についても、予選につき合理的理由があり、その期間中に新株発行などにより株主の権利に著しく変化がないような場合には就任日の1か月程度前に予選決議をすることは差し支えないとされています。
今回は代表取締役の予選についてお話させていただきましたが、商業登記、不動産登記等、ご不明な点がございましたらお気軽に藤間司法書士法人までご連絡ください。