電子定款認証と設立登記のオンライン同時申請制度(スーパー・ファストトラック・オプション)について
株式会社の設立登記においては、定款認証を行い、その後、認証済みの定款を使用して登記申請を行うというように、定款認証と登記申請のお手続きを別に行うことが原則的な流れです。
もっとも、条件を満たした場合には、公証人への定款認証の嘱託及び設立登記の申請を、同時に行うことが可能です。
また、同時申請がされた場合であって、更に一定の条件を満たすときは、原則として同時申請から24時間以内に設立登記が完了します。
この同時申請の制度は「スーパー・ファストトラック・オプション」と呼ばれます。
そこで今回は、本制度についてご説明いたします。
まず、同時申請を行う場合、以下の3つの要件がございます。
①「株式会社」の設立登記であること
一般社団法人、一般財団法人の設立の場合にも定款認証が必要ですが、本制度の対象ではありません。また、会社であっても持分会社の設立の場合は、本制度の対象ではありません。
②オンライン申請をすること
法務局に紙の登記申請書を持参する場合は、本制度の利用はできません。
③テレビ電話を利用した電子定款の認証手続きが行われること
公証役場を訪問して定款認証を行う場合には、本制度の利用はできません。
そして、同時申請の時から24時間以内の登記完了を希望する場合は、更に以下の4つの要件を満たす必要があります。
①設立登記の添付書類が全て電磁的記録により作成されていること
添付書類には電子署名が必要です。
②補正の必要がないこと
③設立時役員等が5人以内であること
④設立登記の登録免許税の納付方法が電子納付であること
以上が要件となります。
本制度を利用する注意点としては、申請日の当日中に定款認証が行われなかった場合、設立登記の申請が却下となる点です。
これは希望日に設立できないことを意味します。
なお、本制度とは別に、株式会社及び合同会社の設立登記においては、原則として、登記申請の受付日の翌日(別送書類がある場合には、書類が法務局に到達した日の翌日)から起算して3執務日目までに登記が完了するという、優先処理制度がございます。
藤間司法書士法人では、本制度を利用できるか否か等について、アドバイスを行うことも可能でございます。
何かございましたら、どうぞご相談ください。