法人の本店移転または商号変更登記のその後
今回は、法人の本店移転または商号変更に伴い、商業登記を申請したその後についてお話してみたいと思います。
通常、法人の本店や商号を変更した場合、法人の登記簿を変更するため、商業登記を申請します。株主総会議事録や取締役会議事録など登記に必要な書類を添付して申請することで登記完了となるのですが、その後、商業登記とは別の登記手続きが必要となる場合がございます。
それは、法人が所有している不動産の名義を変更する不動産登記手続きです。
(不動産を法人名義で所有していないという法人様は必要ない手続きとなりますので、ご放念ください。)
商業登記を申請することで、法人の登記簿上の本店や商号は変更となるのですが、所有している不動産の登記簿まで自動で変更されるわけではないため、別途、不動産の本店・商号の表示変更登記が必要となってくるのです。
そして、この不動産の本店・商号の表示変更登記は不動産登記法の改正に伴い、令和8年4月1日から義務化されることが予定されています。
令和8年4月1日より前に不動産の登記名義人の本店・商号に変更があった場合は、令和8年4月1日から2年以内に、令和8年4月1日以降に不動産の登記名義人の本店・商号に変更があった場合は、その変更があった日から2年以内にその変更登記の申請が求められ、正当な理由なくこの期限内に変更登記をしなかった場合、5万円以下の過料の対象となります。
上記制度の中では、法人が商業登記を申請することで、その変更を確認した登記官が職権で不動産の本店・商号の変更登記を行うといった制度も予定されておりますが、制度開始後、その職権の登記がいつ行われるのか現段階で定かではなく、また職権登記の前提として、不動産登記簿への会社法人等番号の記録の申出を行う必要がございます。
不動産の名義変更のタイミングを法人でコントロールできない点や職権登記のために会社法人等番号の申出を行う必要がある点、法人のコンプライアンス遵守の点などを考えますと、義務化の制度が開始される前に不動産の名義変更を申請されておくのも一つの方法かと思われます。
本店・商号の変更をしたけれど、不動産の名義変更の登記は申請していない、今後、本店・商号の変更を行う予定があるという法人様でご不明な点等がある場合には、藤間司法書士法人までお気軽にご連絡ください。