期限内に定時株主総会を開催できなかった場合の対応
定時株主総会の開催手続きに関し、多くの株式会社では定款において、「事業年度末日から3か月以内に定時株主総会を開催する」や、「事業年度末日の株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において議決権行使できる株主とする」といった規定が定められています。
法人税の申告期限等の関係で、定款規定通り3か月以内に定時株主総会を開催するケースが殆どだと思いますが、極稀に、諸事情により定時株主総会の開催できなかった、又は開催手続き自体を失念してしまっていたというケースがあります。
そのような「期限経過後」に定時株主総会を開催しようとする場合、通常の株主総会招集手続きの他に別途必要な手続きが発生いたします。
それは「基準日公告」という法的手続きです。
すなわち、その期限経過後に遅れて開催される定時株主総会にて、議決権行使できる株主の基準日を改めて会社の方で決定し直す必要があり、かつ、その定めた基準日の2週間前までに官報等に公告をしなければなりません。
具体的なケースで考えてみます。今期事業年度(2022.4.1.~2023.3.31.)の株式会社Aが、2023年6月30日までに定時株主総会を開催できなかった(又は開催手続きを失念していた)場合についてです。
7月1日以降に遅れて定時株主総会を開催しようとするには、上述のとおり、まずは基準日を定める必要があるので、例えば、基準日を2023年7月26日(水)と設定した場合、7月11日(火)までには公告掲載をする必要があります。
※公告例「当社は、令和5年7月26日を基準日と定め、同日24時現在の株主名簿上の株主をもって、基準日から3か月以内に開催予定の第10期定時株主総会における議決権を行使できる株主と定めましたので公告します。」
以上の基準日公告を掲載後、あとは2023年10月26日までに開催できるよう、A社第10期定時株主総会の招集手続き等を進めていきます。また、この定時株主総会で取締役や監査役の任期満了改選もあった場合、その退任日・就任日は実際の定時株主総会日となり、その日付を原因日としてA社の役員変更登記の申請を進めることとなります。
藤間司法書士法人では、株主総会手続き関連のご相談や、官報・日刊工業新聞の申込代行、電子公告調査機関への申込代行も承っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。