おひとりさまの相続はどうなるの?~相続人がいる場合~
日本の未婚率は年々上昇しており、出生率は下がり続けています。
生涯独身の方だけではなく、結婚をしても死別や離別で、いわゆる「おひとりさま」生活を続けている方が増え続けています。
ご自身が該当する、親戚の中に該当者がいる、また、独身の子供が先に亡くなった場合は等、漠然と不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
もし、おひとりさまが亡くなった場合、相続はどうなるでしょうか。
遺言書がない場合、民法では、亡くなった方(被相続人)の遺産を相続する権利を持つ法定相続人の範囲や順位、法定相続分等について定めています。
原則、配偶者がいれば常に相続人となりますが、法律上の婚姻関係が無い内縁の夫や妻、または離婚した元夫や元妻は、法定相続人になりません。
以下のうち優先順位が最も高い法定相続人が全財産を承継します。
①第一順位は子供(子供が死亡している場合は孫:直系卑属)。
ケースとしては、離婚した妻や夫との間に子供がいる場合や、内縁関係で認知した子供がいる場合、養子縁組している場合等が考えられます。子供が元の配偶者と一緒に家を出ていった場合でも、血縁関係には影響がないため、実子として第一順位の法定相続人になります。
また、養子も実子と同じ第一順位の法定相続人です。もし孫も亡くなっていた場合、ひ孫が再代襲者として相続人となり、直系の子孫(直系卑属)がいれば必ず再代襲が発生します。
②第二順位は父母(①がいない場合。父母が死亡している場合は祖父母:直系尊属)。
ただし、被相続人の祖父母が健在であっても、被相続人の父または母のいずれか一方が健在の場合、被相続人の祖父母は相続人とはなりません。
被相続人が養子の場合、実親だけではなく、養父母も相続人になります。なお、両親が離婚していて、親権を有していない親であったとしても、被相続人の法定相続人となります。
③第三順位は兄弟姉妹(①、②がいない場合。兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪)。
養子縁組により兄弟姉妹になった方も相続人になります。また、両親が再婚の場合に、離婚した配偶者との間に子供がいれば、当該異母や異父の兄弟姉妹も相続人になります。
ただし、兄弟姉妹の代襲相続は、直系卑属の場合と異なり、一代までと決まっているので、再代襲(甥や姪の子どもによる代襲)は起こりません。
おひとりさまの相続では、誰が相続するのか以外にも、財産状況の把握が困難であったり、相続人同士の面識が全くなく遺産分割協議がまとまらない等のトラブルが発生する可能性があります。
特定の方に財産を渡したいという希望がある場合は、生前に「遺言書」を準備しておくと安心です。有効な遺言書がある場合には、基本的に遺言に沿って手続きが行われますので、おひとりさまの亡き後に財産を滞りなく引き継ぐことができます。
事前の備えで、後日のトラブルを防ぎましょう。遺言や任意後見、相続でお悩みの際には、司法書士などの専門家に相談しながら進めると安心です。ぜひお気軽にご相談ください。