株券の廃止登記
寒さが少々しみますが、空が青く澄みわたる季節になりました。
さて、今回は株券の廃止登記について整理してみたいと思います。
平成18年5月1日会社法施行時は、株券の廃止登記を多数申請しました。
最近は、件数は落ち着いてきている登記ですが、要点を確認していきたいと思います。
(会社法においては株券不発行が原則となりました)
旧商法においては、株式会社は株券を発行することが原則でした。
会社法施行日以降は、株式会社は株券を発行しないことが原則となりました。
平成18年5月1日以降整備法により職権で登記簿に「当会社の株式については、株券を発行する」と一律記載されました。
(株券廃止の手続き)
①株主総会の特別決議
②効力発生日の2週間前までにする株主及び登録株式質権者に対する株券廃止公告及び通知
(ただし、株式の全部について株券を発行していない場合は、公告又は通知の一方で足りる。)
*株券廃止公告の手続を株主総会の日に先立ち開始することも可能であり、すべての手続きを履行している場合には、株主総会の決議により直ちに株券廃止の効力を生じさせることもできる。
(公告・通知について)
A 株券発行会社であるが実際には全部の株式について株券をを発行していない場合公告又は通知の一方で足りる。
(登記の添付書面)
株主総会議事録及び株主リスト
株式の全部について株券を発行していない証明書(株主名簿)
(公告又は通知は添付書面となっていない)
B 実際に株券を発行している場合
公告及び通知の両方が必要
(登記の添付書面)
株主総会議事録及び株主リスト
株券廃止公告したことを証する書面(通知は添付書面となっていない)
会社法第208条第1項
株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ株主及び登録質権者には、各別に通知しなければならない。
(公告・通知の期間について日にちの考え方)
起算日(効力発生日)から前にさかのぼって計算する場合の例
「特定の日や効力発生日の2週間前に公告せよ」という場合
(例)効力発生日を4月1日とすると、前日の3月31日から2週間前(3月18日)の前日である3月17日以前に公告する必要がある。
・2週間前(3月17日掲載→4月1日効力発生日)
*逆算期間の末日が日曜日の場合は、前に1日ずれます。
*なお、上記公告は定款で定める公告方法で行うこと。
(株券廃止に関するその他の留意事項①)
株券発行会社(定款に株券発行の定めがある)は株式の譲渡をする場合は、株券の交付が効力要件となる。
実際には株券が発行されていない場合でも、譲渡しようとする時は、株券を発行する必要がある。
株券不発行会社は株式の譲渡をする場合、意思表示のみで有効に成立
(株券廃止に関するその他の留意事項②)
合併消滅会社が株券発行会社の場合で、実際に株券を発行している場合は株券提出公告が必要になる。
などです。
少しでもお役に立てれば幸いです。
ご不明な点等がございましたらお気軽に藤間司法書士法人までご連絡ください。