戸籍謄本広域交付制度
■戸籍謄本広域交付制度が始まります。
戸籍法の改正により2024年(令和6年)3月1日以降、戸籍謄本の広域交付制度がはじまり、戸籍謄本の取得がどの市区町村の窓口でもできるようになります。この制度により本籍地が遠方であっても、住所地や勤務先に近い市区町村役場でこれらの書類を請求できるようになります。ただし、除籍謄・抄本が電子化されていない一部の戸籍は引き続き本籍地の市区町村の窓口で取得することになります。
■制度の概要と司法書士などの専門家の実務対応
・戸籍謄本の広域交付制度利用対象者は、窓口での本人による申請・取得に限定されており、
郵送申請や代理人(司法書士などの専門家の職務上請求も含む)による取得はできない。
・郵送申請や代理人(司法書士など上記の通り)による請求など、広域交付を利用しない場
合の戸籍謄本の取得は、従来どおり、本籍地の市区町村の役所にて取得する必要があり、
本籍が複数の市区町村にわたって転々としている場合には、全ての市区町村で戸籍等を
取得する必要があります。
・不動産の相続登記で必要になる、「戸籍の附票」については広域交付制度の対象となって
いないため、従来どおり、本籍地の市区町村の役所で取り寄せる必要があります。
・司法書士による相続登記手続きの際に必要な戸籍の収集実務においては、①依頼人自身に
よる直系血族の戸籍の本人請求(広域交付制度も利用)と②代理人による傍系血族の戸籍
及び戸籍の附票の代理請求を組み合わせる形で対応することにより、日数、郵送小為替コ
スト等の削減が期待されます。
将来的には、マイナンバー制度の利用によって他の行政機関での手続きにおいて戸籍謄本自体の提出が不要になるなど、行政手続きの負担軽減が拡大される見込みもあり、今後も更に行政手続きの利便性が高まっていく方向に動いていくものと思われます。
しかし、相続手続きについては法律に基づく対応が必要です。知見のある専門家に相談しながら進めると間違いもなくご安心です。戸籍
謄本広域交付制度も含めて相続手続きについては専門家である司法書士にぜひご相談ください。