組織再編時の不動産にかかる税金について
近年、会社の事業を拡大または縮小させることにより競争力の回復、強化を目的とする組織再編が多く見受けられ、「資産管理部門を切り出して、不動産会社として独立させたい」「グループ会社間で事業用資産を移動させたい。」等々のお話を伺うことがあります。
組織再編の際、承継資産の中に不動産が含まれる場合には、不動産取得税や登録免許税等の税金が課税されます。
まず、不動産取得税の取扱いについては、合併および株式交換等によって不動産を引き継いだ場合には不動産取得税は課されません。(所有権の移転が形式的なものに過ぎないためです。地方税法第73条の7の2)これに比して現物出資および事業譲渡によって不動産を引き継いだ場合には不動産取得税が課されることとなります。また、会社分割によって不動産を引き継いだ場合には、原則として不動産取得税が課税されますが、一定の非課税要件(地方税法第73条の7の2後段及び地方税法施行令第37条の14)を満たす場合には課されないこととされています。
つぎに、登録免許税については、合併および会社分割があった場合、被合併会社および分割会社の所有する不動産が承継の対象となるような合併および会社分割をした場合には不動産の所有権移転登記に要する登録免許税が必要になります。また、現物出資および事業譲渡によって出資者や譲渡人の所有する不動産が承継対象となるような出資および譲渡をした場合にも、登録免許税が必要になります。
税率は、移転方法によって異なりますが、例えば、合併の場合は、前述のとおり不動産取得税は非課税となり、登録免許税は固定資産評価額の0.4%となります。会社分割の場合も一定の要件を満たせば不動産取得税が非課税となりますが、登録免許税は固定資産評価額の2.0%になります。
※以下は租税特別措置法上の特例措置となります。
「事業承継等に係る登録免許税の特例(租税特別措置法第80条第1項)」
産業競争力強化法では、産業競争力の強化に関する施策として産業活動における新陳代謝を促進するための措置を講じることとしており、その一環として事業再編の円滑化を図ることとしています。具体的には、生産性向上を目指し、事業再編を行う取り組みを事業再編計画として認定し、認定を受けた取組に対して、税制優遇(不動産登記・商業登記の登録免許税の軽減措置を含みます)や金融支援等の支援措置を講じることで当該取組みを後押ししています。
「事業承継等に係る登録免許税の特例(租税特別措置法第80条第3項)」
中小企業者等が、適用期間内(現状は令和6年3月31日まで)に、中小企業等経営強化法に基づき、経営力向上計画を策定し国から認定を受ければ、合併や会社分割等で発生する不動産の所有権移転登記の際の登録免許税の軽減を受けることが可能となります。
組織再編はうまく活用すれば様々なメリットがありますが、税務・会計・法務それぞれの専門的な知識が必要になりますので、藤間司法書士法人をはじめとするTOMAグループまでお気軽ご相談ください。