監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨登記

少しずつ、、春めいてきたこのごろです。


さて、今回は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の登記について整理してみたいと思います。

少し以前のこととなりましたが、、平成27年5月1日改正会社法施行により「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨」がある株式会社について、当該定款の定めが登記事項に追加されました。


(会社法911条3項17号)

経過措置を含め、すべての株式会社が法令により、監査役の監査の範囲の登記を行っていれば、平成27年から監査役の最長任期である10年経過する今年、令和7年(2025年)

以降は、登記簿から監査役の監査の範囲を確認することができるようになる予定です。

*なお、有限会社については整備法で「監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社の定款には、会社法第389条第1項の規定による定めがあるものとみなす」とあるので

この登記の必要はありません。


(制度の趣旨)

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の登記をすることにより、

たとえば代表訴訟において株式会社を代表する者が監査役か代表取締役かなどが登記簿から明確になる。

業務監査と会計監査を行う監査役を置く株式会社(監査役設置会社)

・代表訴訟において監査役が監査役設置会社を代表する。(会社法386条)

会計監査限定監査役を置く株式会社

・代表訴訟において、代表取締役が、株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の

 行為をする権限を有する。(会社法389条7項)


(登記)

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを新たに設けた場合は、

その旨の登記が必要です。年月日設定 と登記される。

株主総会の特別決議で定款を変更


(その他の留意点)

①監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めの廃止は監査役の退任事由となる

 ため監査役の選任が必要。同じ監査役が選任される場合は登記は「重任」となる。

 (会社法336条4項1号)

②役員の責任の免除に関する定款の定めは、監査役設置会社(会社法2条9号)でなければ

 設けることができない。会計限定監査役の場合は定めを設けることができない。

 (会社法426条1項)


(登記および申請時期に関する経過措置)

【整備法による経過措置の登記】パターンが2つある。

(1)平成18年4月30日以前に設立された株式会社の場合

  ①資本金は1億円以下かつ株式の全部に譲渡制限の規定がある。

  ②平成18年5月1日以降、監査役の監査の範囲について、定款を変更していない。

  ③監査役会及び会計監査人を設置していない。

  ①~③全て該当する場合は、定款に直接の規定がなくても、

  「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨」があるとみなされており、

  その旨の登記が必要となる。  

  *この場合、年月日設定 と設定日の登記はされない。

添付書面 定款又は代表取締役の証明書(監査役の監査の範囲を会計に関するものに

     限定する旨の定款の定めがあることを証する書面)

    

(2)平成18年5月1日以降に設立された会社

  ①株式の全部に譲渡制限規定がある。

  ②監査役会及び会計監査人を設置していない。

  ③監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定めがある。

  ①~③全て該当する場合は、の登記が必要となる。 

  「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨」の登記が必要となる。

  *この場合、年月日設定 と設定日の登記はされない。

添付書面 会計限定監査役の定めが記載された定款又は当該定め決議した株主総会議事録

     

【経過措置の申請時期】

 平成27年5月1日以降、最初に監査役が就任、重又は退任する登記を申請する際に、

 監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定めがある旨の登記をする必要があります。

(上記(2)の一例)

  平成27年4月に設立した非公開会社である株式会社(事業年度末日3月31日)

  定款に「会計限定監査役の定めがある旨」あり 監査役の任期が10年で再選の場合、

  経過措置の申請期限は令和7年6月の定時株主総会となる。監査役の重任登記とともに

 監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定めがある旨の登記をする必要がある。

 *この場合、年月日設定 と設定日の登記はされない。

 

少しでもお役に立てれば幸いです。

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