株主総会決議で代表取締役を選定することについて(取締役会設置会社)
暑い日が続きます。みなさまおすこやかにお過ごしでしょうか。
さて、今回は取締役会設置会社において代表取締役を株主総会で選定することについてお話したいと思います。
原則
取締役会設置会社では、取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。(会社法362条3項)
取締役会設置会社の代表取締役の選定機関は取締役会と会社法で定められているので取締役会で選定しています。(会社法362条2項3号)
ただし、取締役会設置会社でも定款に、「代表取締役は株主総会の決議によって定めることができる」旨の定めを置いたときには、取締役会又は株主総会の決議によって、代表取締役を選定できると解されています。
実務では上記の定款の定めを設けている会社はごくまれのように感じておりますが、会社の実情・経営上定めを設けることが可能であれは(株主の意向で代表取締役を決定)登記手続きの観点からは、下記のメリットはあると思われます。
①(株主総会で代表取締役を選定する場合)
同一の株主総会において、Aを取締役として予選し、Aが取締役に就任することを条件として、Aを代表取締役に予選することが可能となる。(代表取締役の予選が可能)
*株主が代表取締役を選定するため、取締役会で選定するのと異なり、取締役会の構成員についての制約がない。
(取締役会で代表取締役を選定する場合)
株主総会でAを予選した場合、同日の取締役会でAを代表取締役として予選できず、Aの取締役としての就任日以降に取締役会を開催し、Aを構成員とする取締役会にてAを代表取締役として選定することになる。
②(株主総会で代表取締役を選定する場合)
定時株主総会後において、従前の代表取締役が、取締役も任期満了退任して再選されず、新代表取締役が選定される場合株主総会議事録の押印は従前の代表取締役1名が届印を押印することで足りる。
(取締役会で代表取締役を選定する場合)
取締役会で新たな代表取締役Fを選定する場合は、従前の代表取締役Aが出席しないので、出席役員の全員が実印を押印し、印鑑証明書の添付が必要となる。
*特に役員に外国人が含まれる場合は、代表取締役の交代のたびに実印にかわるサイン証明書を取り付けるのが困難ですが、そのような手間も回避できるかと思われます。
少しでもお役に立てれば幸いです。
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