代表取締役等住所非表示措置につきまして 前編

今回は、令和6年10月1日からスタートした「代表取締役等住所非表示措置」という制度についてお話します。

※本記事は前編、後編に分かれて掲載しております。こちらの記事は前編となります。


本制度は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下、「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を、登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(以下、「登記事項証明書等」といいます。)に表示しないこととする措置です。

「一定の要件の下」とは、株式会社の設立登記、代表取締役等の就任登記(重任を含む。)、代表取締役等の住所変更登記、株式会社の本店移転登記(他の登記所の管轄区域内に移転する場合に限る。)といった、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時にする場合に限り、本制度を利用することができるということです。

 代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合、登記事項証明書等においては、代表取締役等の住所は、その最小行政区画までしか記載されないことになります。

 なお、代表取締役等住所非表示措置の対象となる住所は、申出と併せて申請される登記によって記録される住所に限られます。例えば、代表取締役等の重任登記の際に、代表取締役等住所非表示措置を申し出た場合、その重任登記の際の代表取締役等の住所は非表示となりますが、過去の就任・重任登記の際の代表取締役等の住所は非表示とされず、引き続き会社登記簿に記録として残りることになります。


それでは実際に、登記申請と同時に代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合、代表取締役の住所がどのように登記されるのか、具体的なケースを交えながら以下見ていきたいと思います。


【ケース1~住所変更登記と同時に住所非表示措置申出~】

令和6年6月26日の定時株主総会で、法務太郎(住所:東京都千代田区霞が関一丁目1番1号)という人物が、ある株式会社の代表取締役に就任し、同年6月28日にその就任の登記がされました。

その後、法務太郎は同年12月22日に引越しをして、個人住所が「東京都港区東麻布二丁目11番11号」へ変更となりました。

代表取締役の住所は登記事項ですので、その住所に変更があった場合は、住所移転日から2週間以内に、代表取締役の住所変更登記を行う必要があるところ、法務太郎はこの住所変更登記の機会に、同年10月1日から施行された代表取締役等住所非表示措置を申し出ることとしました。

令和6年12月27日、代表取締役の住所変更登記の際に、代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合の登記記録例は次の通りです。

【登記記録例】

上記のように、令和6年6月28日に登記申請された時点では、まだ本制度の施行前ですので、代表取締役の住所は全て登記されています。

その後、代表取締役の住所変更登記と同時に、代表取締役等住所非表示措置の申出がされたので、代表取締役の住所は「東京都港区」までと、最小行政区画までの表示となりました。

なお、代表取締役等住所非表示措置の対象となる住所は、申出と併せて申請される登記によって記録される住所に限られますので、就任登記の際の代表取締役の住所「東京都千代田区霞が関一丁目1番1号」は、引き続き登記事項証明書等に記録が残ることとなります。


【ケース2~代表取締役就任登記と同時に住所非表示申出~】

 令和7年6月27日の定時株主総会で、法務太郎(住所:東京都千代田区霞が関一丁目1番1号)という人物が、ある株式会社の代表取締役に新しく就任することになり、同年7月4日、法務太郎は、代表取締役の就任登記の機会に、代表取締役等住所非表示措置を申し出ることとしました。

代表取締役の就任登記の際に、代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合の登記記録例は次の通りです。

【登記記録例】

上記のように、令和7年6月27日付の代表取締役の就任登記と同時に代表取締役等住所非表示措置の申出が行われたので、代表取締役の住所は「東京都千代田区」までと、最小行政区画までの表示となりました。


【ケース3~代表取締役の重任登記と同時に住所非表示申出~】

 ある株式会社の代表取締役である法務太郎(住所:東京都千代田区霞が関一丁目1番1号)は、令和5年6月26日付で代表取締役として就任し、翌年の令和6年6月28日付の定時株主総会において、取締役及び代表取締役として再選されています。※この会社では、取締役の任期は1年です。

そして、その翌年の令和7年6月27日付の定時株主総会においても、取締役及び代表取締役として再選され、この重任登記の機会に、法務太郎は代表取締役等住所非表示措置を申し出ることになりました。

代表取締役の重任登記の際に、代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合の登記記録例は次の通りです。

【登記記録例】

上記のように、令和7年6月27日付の代表取締役の重任登記と同時に代表取締役等住所非表示措置の申出が行われたので、代表取締役の住所は「東京都千代田区」までと、最小行政区画までの表示となりました。

なお、代表取締役等住所非表示措置の対象となる住所は、その申出と併せて申請される登記によって記録される住所に限られますので、従前の令和5年6月26日付および令和6年6月28日付の重任登記の際の住所「東京都千代田区霞が関一丁目1番1号」は、引き続き登記事項証明書等に記録が残ることとなります。

前編はここまでとなります。後編では、【ケース1】、【ケース2】のその後の展開についてご説明してまいりますので、次のブログ記事 「代表取締役等住所非表示措置につきまして 後編」 も、ぜひご参照くださいませ。


お問合せ(ご相談・お見積のご依頼)

業務内容や登記に関するご相談ご質問はお気軽に。

03-6266-2525【受付】9:00~17:00(土日祝除く)

メールでのお問合せは

toma-ju@toma.co.jp

地図・交通

JR東京駅下車、徒歩2分でご来社いただけます。

藤間司法書士法人

藤間司法書士法人
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号
丸の内トラストタワー本館3階 JR東京駅 八重洲北口より徒歩2分

03-6266-2525

03-6266-2526

お客様の課題をワンストップで解決するプロ集団。それがTOMAグループです。

TOMAコンサルタンツグループ株式会社(東京/シンガポール[アジア統括]/ ロサンゼルス[アメリカ統括])


TOMA税理士法人 TOMA社会保険労務私法人 TOMA公認会計士共同事務所 TOMA行政書士法人 TOMA 税理士法人 TOMA社会保険労務士法人 TOMA公認会計士共同事務所 TOMA行政書士法人

Copyright (C) TOMA Judicial scrivener office. All Rights Reserved.